清水雅彦 テノール リサイタル(1/5





清水雅彦 テノール リサイタル こどもを想う~未来へ(1/5

 正月早々、築地でテノール歌手清水雅彦さんのリサイタルを聴きました。

201915
浜離宮朝日ホール
ピアノ 鈴木真理子


 清水さんは、現在都留文科大学教授、東京藝術大学音楽学部非常勤講師、日本合唱指揮者協会・「音楽樹」・三輝会会員、全日本合唱連盟国際委員をされています。著書に「コーラスを歌おう─発生の初歩からステージまで」、「合唱エクササイズ指導編」などがあります。



プログラム】
Ⅰ 六つの子供の歌
   中田喜直 曲



Ⅱ 教室のこどもたちのために新しい日本の歌
   三善 晃 曲
    貝がらのうた(三善 晃)
    仔ぎつねの歌(三善 晃)
    栗の実(三善 晃)

    かっぱ(谷川俊太郎)他


Ⅲ Fragments
  ~特攻隊戦死者の手記による~
  <委嘱作品再演>信長高富 曲(2009)


Ⅳ 信長貴富 歌曲三題
    希望の歌(やなせたかし)
    愛するネッシー(やなせたかし)
    未来へ(谷川俊太郎)
 


 清水さんが今回のコンサートに込めたコンセプトは、“こどもの抱く思い”、“こどもを想う大人の思い”です。昭和を代表する中田喜直、三善晃、そして昭和・平成から未来へと繋ぐ信長貴富の作品が演奏されました。

 とくにFragmentsは、太平洋戦争末期に日本軍が編成した特攻隊を採りあげ、歌と語りとでストーリーを展開してゆくもの。委嘱を受けた信長さんは、作曲にあたり、特攻に対して極力多方向から光を当てることに苦心したといいます。特攻隊員の個人史というミクロの視点と、国家による殺人システムの構築というマクロな視点を描いています。タイトルのFragmentsは「断片、かけら」の意ですが、曲中のセクションごとに連続性はなく、各セクションを屹立するように存在させ、互いを際立たせるように工夫しています。

 プログラムに寄せた信長さんのコメントでは、以下のような思いが述べられていました。

   作品数としては合唱曲が圧倒的に多い私ですが、独唱曲も少しずつ増え、歌曲集が3冊ほど出版されるに至りました。独唱の世界から縁の遠かった私をその入口に立たせてくださったのが、清水雅彦先生であり、歌曲集の収録作品の多くを清水先生による委嘱作品が占めています。
 「Fragments」はその代表格です。衝撃的な初演は今でも忘れることができません。清水先生と鈴木真理子先生は、演奏によっていつも私に多くの学びを与えてくださいます。本当に有難い経験です。今日も感謝とともに拝聴させていただきます。
 

 Fragmentsは、特攻隊兵士の生きたいと願う痛切な思いや、戦争の悲惨さ、矛盾を描き出した印象深い曲です。
あるときは切々と訴えかけるように、またあるときは爆発するような歌と、それと競い合うかのようにエネルギッシュなピアノが応えます。大変聴きごたえのある曲です。


 会場には、作曲者の信長貴富さんがお越しになっていました。また、以前Fragmentsを演奏をされた指揮者の山脇卓也さんなどもお越しになっていました。

 清水さんの演奏ではありませんが、合唱団お江戸コラリアーずによる、男声合唱とピアノのための「Fragments」がyoutubeにあります。ご興味をお持ちの方はごらん下さい ⇒ 







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