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フェデラーはやっぱり強いのだよ


AIG Japan Open Tennis Championships 2006 観戦記




 
塚原安雄
   2006年10月9日





 
10月6日、愛用のカメラとカミさんにつくってもらった弁当をデイバッグにつめ、台風のような天気の中を有明のテニスの森へ。昨日も天気が悪く、屋外のコートは使えずセンターコートで午前3時まで試合をしたそうな。本日は午前9時より試合開始とのことでいつもと同じ時間の通勤電車に乗ったが、いつもの気分とは当然全く違う。

 さて9時少し過ぎに会場へつくとすでに四分ぐらいの観客の入りでしかも続々と詰めかけてくる。今回はランク1位のロジャー・フェデラーが初来日とのことで大変人気が高いとのことであったが平日のこの荒天でこの客の入り。
 いつだったか忘れたが当時1位のサンプラスが来日したときは、空席が目立って大会関係者がテニスの人気の無さを嘆いた記憶があるが、史上最高のオールラウンドプレイヤーの人気は高い。今日は男子単準々決勝が行われる予定で、お目当てのロジャー・フェデラー対鈴木貴男は第三試合である。

 
DELPOTRO対HENNMAN、SCHUETTLER対ANCICの試合が終わるころには満員の場内には熱気がむせかえる。例によりおしゃべり修造の座持ちのあとフェデラーが鈴木をしたがえて登場。場内の熱気はこれだけでさらに盛り上がる。

 私は鈴木の試合は見たことがない。プレースタイルは速いサーブ&ネットと聞いているがフェデラーにどの程度通用するのだろうか。後ろの席のおばちゃん軍団は杉山の試合が早く見たくて「一時間もしないうちに終わるんじゃない」とささやき合っている。そんな気がしない訳でもない。通常より長い10分間のウオーミングアップの後、試合開始。

 鈴木のサーブは速い。切れが良い。特にセカンドサーブは攻撃的で素晴らしかった。さすがのフェデラーも簡単にリターン出来ない。鈴木はリターンゲームもアンダースピンを使い果敢にネットに詰める。鈴木が第3ゲームをブレークし、あれよあれよと言う前に第1セットを取った。場内の熱気はさらに高まる。第2セット、王者が本気を出したように思えた。しかし鈴木のサーブは止まらない。王者もサービスゲームはラブでキープすることが多くなった。両者サービスをキープし続けるが第12ゲームをフェデラーがブレークし第2セットを取る。一瞬ここまでかとの雰囲気が場内に漂う。しかし第3セットも鈴木のサーブがうなる、止まらない。王者もサービスをしっかりキープしタイブレークへ。
 今度は鈴木の勝利への期待が場内に高まる。しかしあと一歩及ばず鈴木は勝利を逃した。しかし鈴木の最後まで王者を苦しめたプレイは観客の胸を熱くし、試合終了と同時に勝者と敗者をスタンディングオベーションで讃えた。



 しかしだよしかし、結局善戦しても勝たないとスポーツの世界では意味が無い。終わってみればフェデラーの横綱相撲のような気がする。鈴木もそう思っているだろうし一番悔しいのは鈴木だろう。「フェデラーはやっぱり強いのだよ」
 でも今日はいい試合でとても楽しかった。
Thank You Guys!

 センターコートから外に出ると、すっかり夜になった有明の森は相変わらずの雨と風であった。





 


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