彩の国プラチナ混声合唱団 最優秀賞受賞!
第10回国際シニア合唱祭・ゴールデンウェーブ in 横浜
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加 藤 良 一 2018年4月19日
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国際シニア合唱祭は、横浜開港150周年記念事業の一環として2008年に立ち上げられた大きなイベントです。主催者はNPO法人ゴールデンウェーブ。10回目を迎えた今年は、4月15~17日の3日間、横浜みなとみらいホール・大ホールで開催されました。エントリー数は、海外からの団体を含めて118団体もあり、総勢4,000名にもおよびました。1日を3ブロックに分け、最後に講評と表彰式を行います。
そもそもゴールデンウェーブって何なんでしょうかね?
国際シニア合唱祭の主催者は、熟年の人たちに二度目のゴールデンエージが来た! 「ゴールデンエージには、人生の豊かさ、優しさを育む響きがあり、大航海を乗り越えてきた悠々とした風格を感じさせます。」と持ち上げてくれるのです(‘;’) シルバーエージなら高齢者とか老年層を指しますが、それじゃ単なる年寄り扱いじゃないか、と反発した人々が蜂起して創り出したものでしょうか。たしかにシルバーより光り輝くゴールドのほうが響きがいいですね。親しみが持てそうです。そんなシルバーの人たちの大きなうねりがゴールデンウェーブということかもしれませんね。
後学のために調べてみたら、ゴールデンエージは主にスポーツの世界で使われていることばのようです。スキャモンの発育曲線というのがあって、神経系の発達は5歳頃までに80%ほど形成され、12歳をピークにほぼ100%に到達します。そんなことから、12歳ごろまでに多様な動きを経験させておくことが重要だといいます。つまりこの年代を、ゴールデンエージと呼んで重要視しています。この大事な時期に何もしなければ効果は出ませんが、計画的に何らかのトレーニングをすれば大きな効果が期待できるというものです。もちろん個人差はありますが…。そこで、高齢者に目を向けてみると、まちがいなく神経系は(個人差はあるものの)完成し尽くされていて手の施しようもないかも知れませんが、いっぽうでその他の身体的・精神的機能はまだまだ使える状態にありそうです。
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第10回 国際シニア合唱祭 ゴールデンウェーブ in 横浜
横浜みなとみらいホール 大ホール 2018年4月15日(日)~17日(火)
*彩の国プラチナ混声合唱団 出演:4月16日(月)
ツェーザー・フライシュレン詩/信長貴富訳、信長貴富作曲 混声合唱とピアノのための『くちびるに歌を』より
「くちびるに歌を」
指揮:蓮沼喜文 ピアノ:持田みどり
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<講評者>
相澤直人 足立さつき 上田真樹 岸 信介 桑原妙子 清水 昭 清水敬一 辻 秀幸
なかにしあかね 中田幸子 新実徳英 信長貴富 古橋富士雄 松村 努 三繩みどり 吉田孝古麿
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彩の国プラチナ混声合唱団は、埼玉県合唱連盟が特別事業として、加盟の有無を問わず広くお声掛けして結成した合唱団です。実行委員長は小島嘉子・埼玉県合唱連盟副理事長、他に理事および事務局の方がお世話をしてくれました。小島副理事長はまたの名をなぜか「メルヘンKojima」と呼ばれています。
今年もさまざまな合唱団から115名の有志が集まりました。この大会の参加資格は<自称50歳以上>です。ようは、平日時間がとれて歌が歌いたい人この指とまれということなんです。
今年のプラチナ混声は、2018年2月からスタートし、計6回の練習で本番に臨みました。中間の3月3日におかあさんコーラス埼玉県大会にゲスト出演してお披露目を行いましたが、このときは小島副理事長が指揮されました。
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プラチナ混声の出番は2日目の4月16日、37団体の最後に演奏しました。また、招待演奏として台湾の女声合唱団と男声合唱団、さらに国内女声のゴールデンウェーブ特別記念合唱団の演奏もありました。
3日間の会期中16名の講評者が各日6名ずつ講評にあたり、各賞を選出します。司会は横浜出身でリコーダーの名手でもあるフリーアナウンサー朝岡聡さんでした。
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本番当日は、発声練習もないまま、15分間のリハーサルでざっと1回通し、残りの時間で出だしやポイントを少し確認しただけでオンステとなりました。しっかり発声練習をしないでステージに乗るのはやはり不安が残りましたが、それでも皆さん持てる力を発揮して演奏することができたと思います。
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そして、プラチナ混声は、2日目に演奏した37団体の中から最優秀「ほほえみ賞」・神奈川県知事賞に選ばれました。副賞は持ち帰るのに困るほど大きなキーボードでした。
授賞式に参列したプラチナ混声の担当理事は、大会本部の方から、宅配でお送りしましょうかとお申し出いただいたにもかかわらず、指揮者の蓮沼常務理事はいつもクルマで移動していると思い込み、大丈夫ですとお断りしてしまったとか…。ところが間が悪いことにその日は電車で来ていたのです。
残念ながらその場に指揮者はおらず、そんなこととは露知らず、はやばやと打上げ会場で泡の溢れるジョッキを掲げていました(';')
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打上げ会場は、みなとみらいにある世界中のビールが楽しめる「世界のビール博物館」でした。県知事賞を頂き大盛り上がりとなった打上げも終わり、いざ帰ろうとして、最後に素敵なおまけがつきました。とにかくキーボードがでかい! さてどうしよう…。持って歩くのは大変だから、では近くのコンビニから発送しようとなり、2軒回ったもののどちらもサイズオーバーでアウト。しかたがないのでエッチラオッチラ担いで家路につきました(‘;’)
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【 講 師 講 評 】(敬称略)
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◇三繩みどり(みなわみどり・声楽家)
深い響きで、美しいハーモニーが広がりました。これだけの人数で心ひとつに歌うなんて、なんて快感でしょう。それを思っただけで感動しますね。曲の大きさに見合う表現力で、たった4か月でこうなるなんて、みなさんの熱意とひとえに指揮者、指導者のお力ですね。すごい!!
◇なかにしあかね(なかにしあかね・作曲家)
すばらしいですね! 埼玉県連の底力、層の厚さを感じます。さすがです! 声を合せるということの感覚、それによって生まれる力を皆さんお一人おひとりがよく理解しておられ、感覚が体に入っておられるのだなと思います。この安定感、豊かな立体感、空間へののびやかな広がり、本当にすばらしいです。メッセージが明快で清々しい演奏です。ありがとうございました!
◇新実徳英(にいみとくひで・作曲家)
力強さ、希望がステージから立ち昇りました! ありがとう!!
◇足立さつき(あだちさつき・声楽家)
大合唱ならではのディナーミクの振り幅の大きさが発揮され、十分に声の魅力が出ていたと思います。4か月の合唱団とは思えない横の聴き合いができていて、指揮の先生の表現を体現されて素晴らしかったです。高音の伸びも良かったです。
◇清水 昭(しみずあきら・指揮者)
信長貴富さんの名曲が、ここみなとみらい大ホールに響き渡りました。ここでのメンバーお一人おひとりの経験がそれぞれ所属される合唱団にとって何かプラスになれば─と願っております。
◇吉田孝古麿(よしだこうこまろ・指揮者)
ユニークな発想に基づいたグループ、成果はあがっていると思います。中央に男声が配置されているので、とても効果的。なんだか、この響きを後方のオルガン入りでやってみたいと思いました。二日目の最終ステージにふさわしい風景でした。ご苦労さま。拍手を送ります。
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『くちびるに歌を』について
曲集『くちびるに歌を』は、そもそも2005年に東海メールクワイアーによって委嘱初演された男声合唱版でした。その後、2007年に混声版、さらに2011年に女声版が上梓され広く歌われるようになった曲です。
楽譜の巻頭言に書かれた信長貴富さんの思いを引いてみると、委嘱を受けた際にまず思い立ったのは、「自分の中のロマンティックな部分を迷うことなく表現してみようということ」、しかし「ロマンティックな音楽を書くことはかなり勇気のいること」だったと述懐しています。「それでもなおロマン的な表現を強く望んだのは、現代という渇いた時代を潤す歌を書きたいという願いがあったから」なのだといいます。
そこで、テキストには、ドイツ・ロマン主義詩人から、ヘルマン・ヘッセ「白い雲」、ウイルヘルム・アレント「わすれなぐさ」、ライナー・マリーア・リルケ「秋」、ツェーザー・フライシュレン「くちびるに歌を」の4作品を選んで作曲しました。「ドイツ語によってロマンティックな音像を導き出し、母国語(日本語)によって懐深くの情感を呼び覚ますというのが狙い」で、そのために「作曲者の意図によって詩が自由に構成された形」となっています。それがもっとも顕著に表れたのが終曲「くちびるに歌を」です。この曲の原題は“Hab’ Sonne im
Herzen”(心に太陽を持て)ですが、これを敢えて「くちびるに歌を─Hab’
ein Lied auf den Lippen」としたのは作曲者自身の創作意図の表出だといいます。
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【 関 連 資 料 】
第9回 国際シニア合唱祭 彩の国プラチナ混声合唱団“うるわし賞”受賞(2017)
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